解説

切通理作第一回監督作品「青春夜話」解説

 『宮崎駿の<世界>』『怪獣使いと少年~ウルトラマンの作家たち』『お前が世界を殺したいなら』などの著作を持ち、批評・エッセイ・ノンフィクションの書き手として活動してきた切通理作の初監督作品。

 誰も居ない夜の学校で、おもちゃの兵隊が動き出すように、忍び込んだ男女が<青春ごっこ>に興じている内に、見つけたものは何か?を、50代に入った新人監督が描きます。

 性急にお互いのぬくもりを求める二十代の男女と、<手も握らない純愛>>から始め直したい中年世代のドラマを交錯させ、「映画でしか取り返せない時間」を捉えようとしました。

 主演のコンビには、ウェット&メッシーというアート表現の活動も話題の新世代女優・深琴と、塚本晋也監督の『野火』等で印象的な助演を見せ、内田伸輝監督作品『ぼくらの亡命』で初主演した須森隆文。

 また女性でありジェンダーレスを追求する黒木歩が撮影監督となり、性愛のフェッティッシュな身体感を極限までさらけ出す。

あらすじ

 青井深琴と野島喬は同じ高校の卒業生だが、4歳違うため、一緒に居た時期はない。いまは20代の会社員となった彼らはひょんなことから出会って意気投合、男女の仲も意識して、一晩を過ごすことになる。

 だが喬はラブホテルではなく、通っていた校舎に深琴をいざなう。深琴は次第に、喬が<青春のやり直し>をしたがっていると思うようになる。自身も、学校時代で良い思い出のなかった深琴は、喬とともに、誰も居ない学校を治外法権に「復讐」の夜にしようと盛り上がる。

 だが母校はその晩ずっと無人ではなかった。「呑みすぎちゃったかな」と学校に戻ってきた当直の女教師・山崎を、裏門で待ち受ける影。

 いまこの学校は、大人になってしまった者の、一晩だけのAmazing Placeと化そうとしていた。